親が伝えたいこと vs 子どもが知りたいこと 離婚の話で生まれるすれ違い
「教育環境の変化と子供の成長に関する調査研究」で、離婚をした時に親から十分に説明をされていなかったと思っている子供が少なくないという結果が出ていました。
この調査結果を読んでいて思ったのですが、小学生以上の子供に対しては、ほとんどの人が離婚のことを説明しているにも関わらず、説明の仕方というか、説明された内容について、子供は満足していないのだということが見えてきました。
この報告書を読んでいて、私が気づいたことがありましたので共有させてください。
親としては「できるだけ誠実に事実を伝えることが大切」と考えることが多いのですが、子どもが本当に知りたいことは少し違うのだと感じました。
もちろん、子どもも「なぜそうなったのか」という背景に関心はあるのですが、
それ以上に強く求めているのは、
自分の生活にどんな影響があるのかを詳しく知りたいという点なのだと気づかされました。
今回アンケートに答えているのは、すでに大人になった方々なので、
子どもの頃に経験した状況や、その後の環境によって感じ方に差がある可能性もあるとは思いますが、
それでもこの視点はとても重要だと感じました。
私も怪獣くん(息子)を通して実感
私は当時3歳だった息子（怪獣くん）に、最初は、
「パパとママとは、もう仲良くできなくなってしまったからお別れすることにした」と説明をしました。
このアンケートでいうと、事実を淡々と伝えるといった感じですね。
なので、このアンケートの結果から考えると、それでは、怪獣くんに対する説明は不十分だったと思います。
その後、私は、怪獣くんと離婚届を提出までの間、毎晩話し合いを重ねました。
その中で、私が働くこと、住む場所のこと、怪獣くんにお願いしたいこと（幼稚園から保育園への変更など）、そしてお父さんとの関係についても、結果的にいろいろと話すことになっていったんですね。
その影響なのかは分かりませんが、怪獣くんが小学生の時に「離婚の時にちゃんと話してくれてありがとう」と言ってくれました。
さらに、もしあの時きちんと説明がなかったら、私のことを嫌いになっていたかもしれない、とも話してくれたんです。
今回この報告書を読んで、私はあの時の話し合いの中で、怪獣くんに対して必要な説明をある程度はできていたんだと気づきました。
「子どもの声」は、私自身の経験とリンクする部分が多いと感じます。
怪獣くんの言葉にもあるように、離婚の際に子どもが納得できるだけの説明がなされているかどうかで、離婚後の親子関係は大きく変わるのだと思います。
報告書の内容
親が伝えた内容
「お父さんとお母さんは一緒に暮らせなくなった」
「ずっと別居していたけれど，正式に離婚することにした」
↓ ↓ ↓
離婚の事実を淡々と伝える説明が27例
「お父さんが借金を繰り返した」
「お父さんに好きな人ができた」
↓ ↓ ↓
離婚原因（異性関係，借金，アルコール依存など）に踏み込んだ説明が22例
子供の声
【親からの説明が不十分と感じている意見】
- 「離婚の理由はどうでもよい。親が子に対してどう責任をとってくれるのか伝えてほしい」(離婚時6歳，現在48歳)
- 「家族だから分かるはず，という思いこみは捨てて，親がどんなことを考えていてどうしたいのか，子どもが何を考えているのか話し合ってほしい」(離婚時11歳，現在23歳)
- 「子どもの生活に影響を及ぼさないように離婚する時期を考え，その事情を分かりやすく説明してほしい」(離婚時15歳，現在17歳)
- 「どうして離婚したいかをきちんと説明してほしい。離婚後の住む場所や環境がどのように変わるのかを説明して安心させてほしい」 (離婚時19歳，現在21歳)
【親から十分に説明を受けたと感じている意見】
- 「４歳の子にも離婚の理由を説明してくれた。子どもだからという理由で説明がなかったことはない。悩まずにすんでいる」(離婚時4歳，現在21歳)
※「教育環境の変化と子供の成長に関する調査研究」より
離婚についてお子さんにお話しする際は、ぜひ今回の報告書にある「子どもの声」を参考にしてみてくださいね。
決して焦らなくて大丈夫です。
子どもに離婚の話を伝えることは簡単なことではありませんが、、時間をかけて、納得できる形で伝えていきましょう。
完璧でなくても、あなたが誠実に向き合おうとする姿勢こそが、子どもにとって、一番の安心になります。
