離婚じゃない 卒婚という選択の巻 第11話







【11話の解説】
【卒婚とは】
『卒婚(そつこん)』とは、2004年に教育ジャーナリストである杉山由美子氏が
その著書『卒婚のススメ』で使用した造語です。
卒婚は、婚姻関係を維持しながら、自由で自立した個々の人生を歩んでいくと
いう生活形態です。
婚姻している夫婦が互いに必要以上に干渉することなく、自由を認め合って
最低限のルールを守り、ゆるやかなパートナーシップを築いていくという新しい
夫婦のかたちを表しています。
【卒婚と離婚の違い】
卒婚と離婚の主な違いは、「法的な婚姻関係を継続するかどうか」という点に
あります。
離婚は、婚姻関係を解消することです。
子どもがいる場合には子どもの両親としての関係は残りますが、戸籍上は他人と
なります。
それに対して卒婚は戸籍上は夫婦のままですが、お互いに干渉せず、それぞれ
自立した自由な生活をすることです。
新しい夫婦のかたち『卒婚』にも、もちろんメリット・デメリットがあります。
主なものは以下の通りです。
【卒婚のメリット】
・戸籍上の記載が変わらず、世間体が維持できる
・夫婦どちらかが亡くなった場合には、遺産を相続できる
・夫婦の共有財産を維持しながら、そのまま同じ家に生活することが可能
・法律上結婚しているので、収入が低い側は、それまでと同じように生活費を
受け取ることが可能
・離婚して完全に別々の生活をするのに比べて、家賃や光熱費などを節約できる
・自立した関係を認め合うことで、心地のいい関係を築ける可能性がある
・お互いに自由になることで精神的な余裕ができ、今は夫婦関係に問題があっても
再構築できる可能性がある
【卒婚のデメリット】
• 戸籍上は夫婦のままなので、「一切関係をなくしたい」という方には不向き
• 自由に恋愛できるとはかぎらず、第三者と肉体関係を持つと、不貞行為となり
慰謝料を請求される可能性がある
• 自由な生活に慣れた結果、夫婦の一方が法的な夫婦関係の解消を求めて離婚を
希望する可能性がある
• 法律上はお互いに扶養義務があり、収入が高い方は生活費を支払い続けなければ
ならない可能性がある
• 夫婦で費用負担などについて自由に決めることができるが、夫婦間の契約は
いつでも取り消せるので、不安定である
• 卒婚する時点で財産分与をする場合でも、年金分割は対象外である
ただし、お互い自由に恋愛を可能とする・恋愛しても不貞行為とはみなさ
ない・生活費はいくら支払うなど、事前に二人で取り決めをして契約書を
作成することで、デメリットを補うことが可能です。
後々、トラブルにならないように、取り決めたことを契約書にすることが
とても重要になります!
圭子さんはなおちゃんから卒婚と離婚の違いについて、卒婚のメリット・デメ
リットについても詳しく説明してもらいました。
『卒婚』という方法があると聞いたことで、圭子さんは今まで、経済的な不安や
仕事をせずに家にいる次女を心配する気持ちでいっぱいだったのが、少し光が
見えたような気がしてきました。
なおちゃん:「卒婚のメリットは今の生活から精神的に解放されることなんですよ!」
圭子さん:「そんな方法があるのですね。戸籍上そのままということは、夫が
了承すれば家を出ていかなくて良いってことね。夫のご飯も作らなくていいし
お金の心配もしなくてすむわ!」
圭子さんは卒婚という方法なら、自分の希望通りの生活ができるかもしれないと
思い、少し気持ちが軽くなりました。
つづく